読み始めてすぐ、やるせなさともどかしさで苦しくて苦しくて、こんなに読んでいて苦しい本なら、もしかしたら最後まで読んでしまえないかもしれないという気持ちになってしまいました。
子どもが友達を押して怪我をさせたという連絡が幼稚園から入ります。怪我した子が押されたと言うのですが、子どもは押していないと断言します。母親は子どもを信じますがそれは怪我した子の主張を疑うことになります。
普段通りのかわらない一日を送っていたはずなのに、突然トラブルに巻き込まれる親子。
怪我をした子の親は騒ぎ立て、他の親子にまで話が広がり、孤立する親子。
本の冒頭のこの出来事を読んでいると、本当につらい。でも、現実でも似たような出来事は起こります。本当はやっていないのに。。。
この出来事は結局、怪我をした子が押されていないと本当のことを話し、窮地に立たされていた親子に平穏な日々が戻ってきます。
あー、良かった。
このエピソードが問題がこじれる方に進んでいたら、きっと読み進めることはできなかったと思います。そのくらい衝撃的でした。
まじめに日々を送る人がいわれなきトラブルに巻き込まれ不幸になることが耐えられない。同じ子を持つ親としていたたまれない。
続く内容も、家族のあり方を考えさせられるものでした。夫婦、結婚後の互いの両親、親子。愛情からくる希望や心配や関心が、必ずしも相手にとっての幸せに繋がるわけではなく、むしろそれが重荷になったりする。
過剰な束縛を逃れたいと思うこと、愛する人を信頼しゆだねること、若さ故の無知。
ただ自分らしく生きたいだけなのに、それは悪いことなのか?
読み進めるうちに、何度も本を閉じて痛みに耐え、そしてまた読み続ける。
最後まで見届けなければ、自分の中でこの子は報われない状態のままで終わってしまう。
そして、最後には「朝が来る」そのタイトルのように、真っ暗な闇に覆われた夜が少しずつ明るみほんの少しの日差しが雲の合間から差してきているような、そんなわずかな希望を感じさせる形で終わります。
うん、きっと大丈夫。
冒頭のエピソードで、誤解も解け平穏な日常が再び訪れたように。